求人のプロ

給与や賞与などの金銭報酬とは違い、非金銭報酬にあたるのが福利厚生ですね。
退職金制度や社会保険、育児支援制度、家族手当といったものが福利厚生に該当する訳ですが、導入するかは会社が決める事。
なので、めちゃくちゃ充実している企業もあれば、福利厚生が何もない…という企業など、導入頻度は会社によって様々です。
僕は求人広告を毎日作っているので、いくつもの企業様の募集条件を目にしてきましたが、福利厚生の数はだいたい企業規模に比例していく感じです。
誰もが知る大手企業の多くは福利厚生がとても充実している一方、従業員が数人の会社となると福利厚生が何もないところもあります。
福利厚生に不満の無い方はこの記事を読まなくても結構ですが、もし、現在勤めている会社の福利厚生に不満があれば会社は辞めるべきかもしれません。
それではその理由を説明していきます。

会社が福利厚生を導入するメリット・デメリット

福利厚生

福利厚生には様々な種類がありますが、いずれも企業の負担が発生します。
つまり、企業側にとってデメリットが発生するのです。
それでも福利厚生を導入する企業のメリットって何だと思いますか?
まずは企業にとってのメリット・デメリットを知っておきましょう。

【メリット1】従業員の定着率が上がる

福利厚生は大まかに分けると、法定福利厚生と法定外福利厚生に分けられます。
法定福利厚生は社会保険の事ですが、更にかみ砕くと、厚生年金や労災保険、健康保険、雇用保険、介護保険の事などを指します。
これら法定福利厚生は法律で決められているものなので、注目すべきは法定外福利厚生。
退職金制度や、財形貯蓄、家賃補助、休暇制度など多くの種類がありますが、生活を支えてくれる内容のものが多いので、当然無いよりはあった方が良いですね。
特に家族持ちの従業員にとって将来に向けての貯蓄は大切。
退職金制度や住宅ローンの補助などが充実していたら将来設計もしやすくなり、「ずっとこの会社で生計を立てていく」という思考になるので、定着率が上がるという訳です。

【メリット2】採用活動で有利になる。

求職者は転職先を探す時、必ずと言っていいほど求人原稿の募集条件データを目にします。
そして、色んな企業と募集条件を見比べます。
そう考えると、同じような給料、同じような仕事で求人している企業が複数ある場合、より優れたほうを選びますよね?
ちなみに求職者が仕事を選ぶ際に最も重要視するのは『福利厚生』です。
アンケートによるちゃんとしたデータも出ています。
つまり、福利厚生が充実していると中途の募集がスムーズにいくようになり、結果的に求人費用も大幅に削減する事ができるという訳です。

【メリット3】企業イメージが良くなる。

令和に入ってから働き方改革を掲げる企業が急増しているのはご存じのとおり。
政府も様々な対策を検討・導入しています。
このような世間の風潮もあり、時短勤務制度や育児支援制度の充実、従業員の健康維持等を積極的に取り入れる企業ってほんとに増えましたよね。
また、経済産業省による『健康経営優良法人2019』といった認定制度があるのですが、分かりやすく言うと『従業員の健康を考え、健全な経営をしている企業』と、認められる制度。
上位500企業が選ばれるので『ホワイト500』とも言われています。
違法残業ナシを掲げたり、男性の育休取得実績が多かったりする、いわゆる福利厚生が充実している企業ですね。

僕も何度かこのホワイト500に選ばれた企業の求人原稿を制作してきましたが、めっちゃ応募きます!!!笑
やはり福利厚生もそれなりに充実していますし、企業イメージも当然上昇しますよね普通。

【メリット4】従業員の業務効率やスキル・知識が向上する。

福利厚生で自己啓発に力を入れている企業は多数いらっしゃいます。
資格取得支援制度を導入して資格取得の費用を会社が負担し、業務中に勉強できたりもする企業は多く存在します。
他にもウン十万もする社外セミナーを従業員が受けれる企業も存在しますね。

また、休暇系の福利厚生を積極的に導入すれば、従業員のワークワイフバランスが充実し、仕事に対するモチベーションが上がります。
結果的に、従業員がより仕事に集中できるようになり、会社としての生産性向上や、クオリティの向上に繋がるという訳ですね。

企業のデメリットは?

ここまでメリットを説明してきましたが、じゃあデメリットはなにか…。
それは『コストがかかる』という事と、『管理・運用の手間がかかる』の2点です。
コストに関してはぶっちゃけかなり高額な費用が発生します。
法定福利厚生である社会保険だけでも企業が負担する額は相当なもの。
法定外福利厚生の『社員旅行』なんかは海外に行けば一人十万以上のコストがかかります。

なので、多くの利益を出せる企業じゃないと、導入すること自体が厳しいんです。
そして何かしらの福利厚生を導入すると関らず運用の手間も増えます。
企業規模によっては福利厚生の運用管理を行う部署も存在するほどですからね。
という事で『コスト』と『運用管理』が企業にとっての大きなデメリットとなります。

福利厚生のない会社は、社員を大切にしていない会社

社員愛

メリット・デメリットはあるものの、最終的に福利厚生を導入するかしないかを判断するのは会社です。
大企業だと企業イメージUPのために福利厚生を導入したり、採用コスト削減のために福利厚生で社員定着率を上げたりしています。
従業員数が数千規模ともなるとこれくらいしないと逆に企業側のダメージが大きくなる訳です。

でも、世の中、中小企業に勤めている人がほとんどです。
中小企業になると福利厚生の導入率はガラっと変わり、何も取り入れていない企業もあれば、福利厚生を充実させている会社など様々。
そうなってくると社長や経営幹部が“どれほど社員の事を大切にしているか”に左右される訳です。

何か悩みがあればどこか食事に連れていってくれるような温かみある社長が経営している会社だと福利厚生の導入率は増えるでしょうし、逆に社員の事を駒としか思っていない社長であれば福利厚生の導入率も低いと言えます。
要するに、福利厚生は社員の為のものですから、積極的に取り入れている会社はそれほど社員の事を大切に思ってくれているという証拠です。

福利厚生に不満があるなら思い切って会社を辞めるのもアリ!

退職

福利厚生を中々導入してくれない会社は、今後も導入の望みは薄いでしょう。
社長や経営陣の社員に対する価値観などが変われば話は別ですが、きっと絶望的です。
福利厚生の検討を考えない会社は主に以下の要因が挙げられます。

【その1】
社長や経営幹部がケチ。

【その2】
ケチではないが、福利厚生を導入する予算がない。

【その3】
社長や経営層が福利厚生に詳しくない。

【その4】
福利厚生を提案しても会社側に却下される。

恐らくこの4つの中のどれかが該当するのではないかと思います。
客観的に見て、これらが該当するってけっこう不安じゃないですか?
会社の環境は中々変わらないと思うので、福利厚生に不満がある人は思い切って転職した方がいいかもしれませんね。

福利厚生が充実している会社の見分け方

福利厚生の発見方法

福利厚生の不満は退職に繋がるケースにも発展します。
では転職する際、一体どのように企業の福利厚生を調べればいいのでしょうか。
僕はこれまでに多くの企業の求人原稿を作ってきたので、その経験をもとにアドバイスさせて頂きます。

対象企業の求人サイトを片っ端から見る

企業が人材を募集する際、様々な手段の中から採用手法を選びます。
タウンワークやリクナビネクスト、マイナビといった求人媒体のほか、リクナビエージェントなどのあっせんや、ハローワーク、採用ホームページなど、手段は多岐に渡ります。
もちろん、これら採用手法の中から一つだけの手法で募集をかける事もあれば、複数の媒体を用いて採用活動を行うケースもあります。
そこで、気になる企業の福利厚生を『できるだけ詳しく知りたい!』という場合は、あらゆる求人媒体で、狙っている企業を検索してみてください。

理由は、媒体によって記載されている情報が異なる場合があるからです。

例えば、マイナビの待遇・福利厚生欄で『社会保険』しか記載されていなくても、リクナビネクストの原稿では『社会保険』の他に『退職金制度』や『持ち株制度』なんかが記載されている事もあるんです。
なぜこのような事が起こるかというと、勤務条件のヒアリングは営業によって異なるからです。

例を挙げると、Aさんはあまり待遇・福利厚生に重要性を感じていないので、仕事内容のヒアリングにパワーをかける。
一方、Bさんは待遇・福利厚生を重要だと思っているので、徹底的に企業にヒアリングをする。

というように、営業のヒアリング次第で結構、媒体によって記載内容が異なります。
一見、求人広告に社会保険しか記載されていない会社でも、他の媒体ではとても充実していた、なんて事がかなりあるので、気になる企業を見つけたら色んな媒体の求人広告を見てみましょう!

企業規模で福利厚生を探る

僕の経験上、社員が1人、2人しかいないような会社で福利厚生を充実させているところはかなり少ないです。
社会保険は今や当たり前の法定福利厚生のため、さすがにどの企業も導入していますけどね。(していない企業もアリマス…)
逆に従業員が1000人を超える大企業のほとんどは、福利厚生がかなり充実しています。
このように企業規模である程度福利厚生の予測はつきます。
やはり福利厚生の導入においては、従業員が少ない会社や中小企業の場合、社長や経営幹部がどこまで社員の事を考えているかという要素が大きいですね。

面接で直接企業に聞く

これが一番手っ取り早いかもしれません。
ただ、面接が始まっていきなり「御社の福利厚生を詳しく教えてください!」と聞いても面接に落とされるだけなので、手順をしっかりと考えましょう。

まずは挨拶。
そして自己紹介、職務経歴、長所短所といったような流れを終えて、ようやく最後に質問の機会を頂けるはずです。
質問の時がやってきても、いきなり福利厚生の事を聞くのではなく、違う質問からしていくのが良いでしょう。
あくまでもオマケ程度で聞くように!
なぜなら、給料や待遇・福利厚生に目がくらんで応募してくる人は不採用になりやすいからです。

まとめ

退職

中小企業の待遇・福利厚生が無いに等しい場合、社員を大切にしない会社の可能性が高いです。
もし、本当にそうだとしたらその会社でずっと続けていこうと思いますか?
駒のように使われて、業績が悪化すれば捨てられる…
そんな可能性が高いような気がします。
この世にはたくさんの企業が存在していますから、きっとあなたにピッタリの会社が存在するはずです。
不満を抱えながらその会社で働き続けるより、思い切ってあなたが満足して働ける会社を探しにいくのもアリかなと思います!

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