保育士の働き方改革

『保育園落ちた、日本死ね』の投稿で、一躍話題となった保育園不足。国や自治体の取り組み強化により、2014年頃から6年ほどの間で保育園(認定こども園など含む)の数は約1万2000箇所も増加しました。しかし一難去ってまた一難、今度は深刻な保育士不足が悩みの種に。全国にはおよそ80万人の『潜在保育士※1』がおり、この方々の復帰がカギを握っているとも言われています。今回はそんな中で変わりつつある保育業界について、お伝えさせてください!

 1.保育士資格所有者または過去に保育士として働いていた方で、現在は別職種あるいは退職をされた方を指します。

保育士不足のメカニズム

保育士不足のメカニズム

そもそもなぜ保育に携わる人が不足してしまうのか。

それはとても単純なことで、働く場所は増加したものの、『働きたいと思う人が増加しない』or『働いている人が辞めてしまう』からです。

この背景にあると言われているのが、待遇面の悪さ。

長年勤めたとしても、ほとんど昇給がないケースもあったんだとか。

最近はワイドショーなどを見ていても、園長先生と保育スタッフとの間に亀裂が生まれ、結果的に大量退職してしまうなんてのも目にしますよね。

離職される多くの保育士さんが年度末までは勤め上げるそうで、新年度が始まるタイミングで転職、あるいは別の園に移られています。

保育士不足がもたらす無視できない影響

保育士不足がもたらす無視できない影響

保育士の頻繁な入れ替わりが、子どもたちに悪影響を及ぼすとする意見が出ています。

主な理由としては、

 

  • 保育士と子どもとの間で絆を育みにくくなり、子どもの発達にも影響しかねない。
  • チームワーク不足によって全体の連携がうまく取れず、子どもの危険性が増加する。

     

    といったものが上がっています。

    元保育士の皆さんからは、『そんなことは分かっているけど、やっぱり割に合わない!』という声が聞こえてきそうですね。

    もちろんその通りだと思います。

    転職が当たり前になった今、保育士の方々ばかりが責められる理由はどこにもありません。

    ここで僕が注目したのは、とあるデータです。

    保育士資格を有する方を対象にしたアンケート調査によると、『保育士として働き続けたい』と回答した方は59%、ここに『将来的には保育士として働きたい』という方々を加えると、なんと全体の84%を占めるという数字が発表されています。

    このデータからして、保育士として働きたいと考えている人がたくさんいることは分かりました。

    では、どんなことに不満を抱えて退職されるのかについて、もう少し掘り下げてみましょう。きっとそこから解決策が見えてくるはずです!

    外でも家でもずっと保育士問題

    外でも家でもずっと保育士問題

    保育の現場に携わる方々からよく上がっているのが、“残業”や“持ち帰り仕事”の多さです。

    発表会や工作を園で行う際には、衣装や道具の準備はクラス担任の先生が行うことになります。

    これの負担がとにかく大きいと感じている保育士さんが、多くいらっしゃいました。

    園ではもちろん、自宅に戻ってからも作業をしていることがよくあるんだとか。

    ほかにも壁に飾るためのカワイイ動物やキャラクターの紙飾りを作成したりと、持ち帰り仕事がプライベートを圧迫していることは間違いなさそうです。

     

    これをよく表しているのが保育士資格所持者の中で、保育士かつパートとして勤務している方の割合です。

    その数なんと53%!半数以上がパートとして働いています

    フルタイムの場合とは異なり、時間外労働や持ち帰り仕事がないため、このような結果になったのではないでしょうか。

    脱・保育士不足

    脱・保育士不足

    もちろんこんな現状を打開するために、様々な取り組みが行われています。

    そんな取り組みの中の1つが、ICTシステム『コドモン』の活用です。

    『保育でアイ・シー・ティー?』と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。

    実はこのコドモン、今では全国約4000施設で導入されている教育系ICTツールなんです。

    コドモンでできることとしては、

    • 指導案・日誌の作成
    • 連絡帳のやり取り
    • 登降園管理 など。

    およそ20の機能から、必要なものだけを使用できます。

    実際に導入された園長先生からは、

    『保育士とのコミュニケーションが円滑に取れるようになった』

    『指導案も随時確認できるので、時間も無駄にならないし、アドバイスもしやすい』

    『コドモンで連絡を行うことで、伝言ミスもなくなった』

    という嬉しい声が上がっています。

    これも一種の『働き方改革』といっていいと思います。

    ICTツールの活用によって、確実に保育士さんの負担は軽減できているみたいですからね。

    最後に、ICTツールを導入した現場で働く皆さんの声をお届けしたいと思います!

    ここが変わったよ、保育業界!

    保育業界の変化

    連絡帳はアプリで手間も時間も省略OK!/20代保育士
    『ノートに手書きで保護者にお渡し』が当たり前の連絡帳ですが、クラスの子どもたちみんなの分となると、手間も時間もかかりますよね。
    その点アプリが導入されてからは、劇的に時間短縮できるようになりましたよ。
    手順はカンタンで、子どもの写真を撮影したら、コメントを添えてアプリで保護者に送信。
    たったのこれだけで完了です!
    百聞は一見に如かずというか、長~い文章よりも、1枚の写真の方がしっかり伝わると皆さんからも好評です。
    思い切って手づくりの装飾をなくした結果…/30代保育士
    作り終えると達成感はあるけど、ものすごく時間がかかる手づくりの装飾。
    限られた勤務時間の中では収まりきらないし、いつも仕事に追われている感じがして、心にゆとりもありませんでした。
    でも思い切ってその装飾をなくした今は、しっかりと子供と向き合うことができていますね。
    ほかにも保育以外の業務でカットできるものは極力カット。
    子どもたちに集中できる分、今は自信をもって働けています!
    休みは増えたけど、収入は上がりました!/20代保育士
    うちの園では、0~2歳児担当の先生を2人にしたので交代で休めるようになり、週休3日ができるようになったんです。
    『休んだらその分給料が下がるんじゃないか…』と不安でしたが、副業も認められたことでしっかり解消。
    お給料は他の園と比べて遜色ないし、今はケーキ屋さんでも働けていますよ!

    全国約80万人の潜在保育士の皆さん、ぜひ復帰を!

    全国約80万人の潜在保育士の皆さん、ぜひ復帰を!

    保育の世界が生まれ変わろうとしているのは、今日ご紹介した通りまぎれもない事実。

    先ほどのICT活用については、政府からも補助金(年度により異なる)が出るようで、今後ますます普及していくはずです。

    つまりあなたがかつて保育士として活躍されていた頃とは、大きく変わっている可能性が高い!

    もちろん施設によってバラつきはあると思いますが、これを機に復職を検討されてみてはいかがでしょうか。

    この記事が、あなたの背中を一押しする助けになれば幸いです。

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